『色づく世界の明日から』を振り返る 第2話!
第2話の振り返り
あらすじ
『魔法なんて大キライ』
唯翔が描いていた絵を見て、一瞬、色の溢れる世界を取り戻した瞳美。海外留学中だという琥珀の実家に、身を寄せることになった彼女は、琥珀の両親に押し切られるようにして、近くの南ヶ丘高校に転入することになる。嫌々ながら通い始めた学校で、若い頃の祖母の意外な一面を知ることになる瞳美。さらに彼女は、自分が魔法使いだと証明するために、生徒たちの前で魔法を披露することになる。
(色づく世界の明日から 公式サイトより抜粋)
ストーリー
シーン① 葵の絵をもう一度見たいという瞳美を訝しむ葵
瞳美は色が見えた絵のことが気になり、もう一度見せてくれないかと葵に頼む。
葵はそれよりも先に部屋に侵入した件について説明するよう促す。
瞳美「話しても信じてもらえるかどうか」
葵 「ちゃんとした事情があるんだったら、一応聞くつもりだけど」
瞳美「魔法のせいなんです」
「私、いきなりおばあちゃんに行けって言われて」
「変なバスに乗って、気付いたらあそこにいて」
「とにかく何とかしなきゃって」
「今もどうしてここにいるのか、正直よくわからなくて」
「だから、あの、何言ってるのかわからないと思いますが、あなたの部屋に入ったのは全部魔法のせいなんです」
「迷惑かけてしまって、ごめんなさい」
未来から来たという肝心な部分はボカし、それでも誠実に伝え、頭を下げる瞳美。そんな瞳美を見て、葵は「もういいよ」と必要以上に踏み込むことなく持っていたアズライトを返す。
葵 「じゃあ、とりあえず今度から気を付けて」
「って言っても、魔法ってそういうの気を付けられるものなの?」
瞳美「わかりません。私も今回初めてだったので」
葵 「魔法使いの事情とかよくわかんないけど、とにかくこれからは注意してもらえたら」
葵は自分の注文が無理難題でないかを確認して優しく諭す。葵の口調には隙がなく、言い終えるとそそくさと走り去ってしまう。
瞳美「あの絵のこと、もっと聞きたかった」
シーン② 葵と千草のバイト風景
バイト中、葵は二つ下の後輩・深澤千草に瞳美のことを聞かれる。千草は胡桃から葵と瞳美の関係を探るよう指令を受けていた。
鬱陶しそうに眉を寄せる葵。
千草「なんで昨日の彼女、窓から逃げてたんですか?」
葵 「いや、彼女じゃないから」
千草「じゃあなんで」
葵 「魔法のせいなんだって」
千草「ちょっと何言ってるかわかんないんですけど」
葵 「俺もわかんない」
シーン③ 未来へ帰るためのヒント
イギリスに留学しているという琥珀の帰りを待つ間、瞳美は月白家に引き続き居候することが決まる。未来への帰り方がわからず、他に頼れる人もいない瞳美はそっと胸をなでおろす。
瞳美「私、帰り方もわからなくて、これからどうしたらいいのか」
柚葉「心配しなくても然るべきときがくれば、きっとわかるわ」
瑠璃「魔法はどのくらい使えるの?」
瞳美はバツが悪そうに瞳を逸らして、
瞳美「魔法はあまり好きじゃなくて、ずっと練習してこなかったんです」
瑠璃「あら、それは残念ね。手紙には強い力を持ってるって書いてあったのに」
柚葉「嫌いなものを無理して修行しても、あまり身に付かないわね」
「でも、手紙には未来に帰る方法までは書いてなかったの」
「帰るためには何か強い魔法を習得する必要があるかもしれません」
柚葉の助言にはっとした表情を浮かべる瞳美。
シーン④ 南ヶ丘高校へ編入することになった瞳美
学校へ通ってはどうかという月白家の助言を受けて南ヶ丘高校へ編入することとなった瞳美だが、その足取りは重く、視線は斜め下に向けられている。
和気あいあいと登校する学生の列を避け、桜の木の下で立ち止まる。
瞳美「一人でいたいだけなのに、私は何をしにここにきたんだろう」
シーン⑤ 琥珀の武勇伝
琥珀の親戚の魔法使いというだけで、クラスメートは瞳美のことを恐れている。
意図せず一人ぼっちになった瞳美だが、そこに写真美術部に所属しているクラスメート・風野あさぎが声をかけにやってくる。
あさぎから琥珀が校内で起こしてきた事件の数々を聞いた瞳美は思わず、
瞳美「嘘……」
あさ「ときどきやりすぎちゃうんですね、琥珀ちゃんって」
シーン⑥ 瞳美が編入してきたという噂を聞きつけ集まる写真美術部
写真美術部内で瞳美が葵の彼女であるという噂は消えず、葵の幼い頃からの友人・山吹将でさえも噂が気になる様子。
好奇心旺盛な胡桃は瞳美の話がもっと聞きたいといい、瞳美はあさぎを介して、写真美術部の面々から改めて自己紹介を受ける。
色が見える絵のことを知りたいと願っていた瞳美は葵との再会に目を見開くが、対する葵は体を斜めを向いたまま警戒を解かない。
二人が恋仲であるという噂にうんざりしていた葵は瞳美が部屋にいたのは魔法のせいであると明かす。
千草「またまた言い訳しちゃって。素直に彼女だって認めたら、唯翔先輩?」
瞳美を奇異の眼差しで見ていた学生たちがそれを聞くと、デマは広がっていく。それに紛れて、葵をなじる声もここかしこから聞こえてくる。
生徒「あの人、美術部の残念な人でしょ? 絵にしか興味ないって噂の」
「あの子、今日転校してきたのに早」
「魔法使いの子に手出すなんて根性あるな」
それらの声にため息を吐き、葵は瞳美に魔法使いであることを証明するよう求める。
葵 「部屋に入られただけだって言っても、誰も全然信じてくれないから」
「そっちだって迷惑でしょ、転校早々変な噂されて誤解されたままだと可哀想だし」
「使えるんだよね? 疑うみたいで悪いけど、俺も正直半信半疑っていうか」
瞳美「魔法を見せたら、私のこと信じてくれますか?」
瞳美はまた葵の絵が見たいという下心から魔法を見せることを決意する。一人でいたいだけだと望む瞳美は魔法をひと目見ようと集まってくる野次馬に戸惑いながらも魔法を唱える。
しかし、その魔法は星砂よりも迫力に欠けるものだった。
周囲を失望させてしまった居たたまれなさから、瞳美はその場を立ち去ってしまう。
その後ろ姿を見やる葵の体は瞳美のほうを向いていた。
シーン⑦ 写真美術部の見学
瞳美「やっぱり魔法なんて大キライ」
校舎脇でひっそり呟く瞳美の元へあさぎと胡桃が駆け付ける。二人は謝罪とともにオフリーを手渡す。
あさ「瞳美ちゃん。よかったら放課後の部活、見に来ませんか?」
胡桃「うち新入部員大歓迎だから、ぜひ遊びに来て」
放課後、部活案内を受ける瞳美は無意識に葵の姿を探している。胡桃の情報により、葵はよく一人で屋上で絵を描いていることを知る。
シーン⑧ 瞳に映る葵の絵
課外活動に行くという写真美術部を見送って、一人屋上へ向かう瞳美。
葵の姿を見つけた瞳美は「もう一度、色が見たい」と思い、葵に声をかける。
瞳美「さっきすみませんでした、魔法上手くできなくて」
「でも、どうしてもやらなきゃって、信じてもらいたかったから」
「どう思ったかわからないけど、あれが今の精一杯なんです」
葵 「こっちこそごめん。いや、なんか、やりたくないこと無理やりやらせたみたいで悪かったなって」
瞳美「違います、下心があったんで」
「見せてほしいんです、絵を」
葵 「あのときの?」
瞳美「はい」
葵 「人に見せるのはあんまり好きじゃないんだけど」
瞳美「あの絵は私にとって特別なんです」
「あの絵は私に忘れていた色を見せてくれました」
「灰色だった私の世界に一瞬光が差したんです」
懇願する瞳美に葵はタブレットを手渡す。瞳美の瞳には色が映っている。
葵 「また見せてよ、魔法」
「星とか出せるのって結構すごいと思うよ」
「俺の絵なんかよりもすごいって、絶対に」
「いつか、でいいから」
シーン⑨ 魔法なんて大キライ
自分の魔法を喜んでくれる人がいたことを嬉しく思う瞳美。
フィルムを部室に取りに来た将は、帰り際ひっそり魔法を唱える瞳美を目撃する。
それは先ほど見た魔法よりも綺麗なものだった。
登場する魔法
手の平から星を出す魔法
瞳美が魔法使いであることを証明するために使った魔法。初め、写真美術部の前で披露したときは手の平に収まるほどの星しか出せなかったが、葵と和解した後に唱えると星は両手から溢れ出た。
第2話の感想や考察
葵の性格
葵もミステリアスというか、なかなか自分を語らないキャラですよね。2話冒頭では住所侵入の件で警察に届け出る予定だったアズライトをあっさり瞳美に返しています。しっかり瞳美に弁明のチャンスを与えて、しかも、不十分な弁明だったにもかかわらずです。
もちろん、瞳美の必死さが伝わったということもあるかもしれませんが、瞳美が何か隠していることを察知して必要以上に踏み込まないようにしたようにも思えます。バイト中、千草に聞かれたとき「俺もわかんない」と言っていますし。
それか、誠実に謝る瞳美を見て、もう会うことはないと考えて許したパターンでしょうか。たしかに瞳美が編入してきたときの葵はすごく不機嫌そうですが、これは噂にうんざりしていたからに見えます。
単純に他人に興味がないって方向は悲しいので、やっぱり必要以上に他人に踏み込まないようにしているんじゃないかと考えたいです。
自分を語らないところと絵を「人に見せるのはあんまり好きじゃない」と言っているのを踏まえると、自分が踏み込まれたくないから他人にもそうしているってところでしょうか。
瞳美も「一人でいたい」と口癖のように言っていて、やっぱり二人はどこか似ていると思えてきます。考え方は似てないと思うんですけどね。似ているけど違う。
瞳美の脚の向き
瞳美か屋上にいる葵に会いに向かうシーンでは、①階段を上る瞳美の足取りのカットが挟まれています。
この対比として、1話では②まほう屋に向かう道中の足取りが描かれています。
まず②についてですが、あさぎからもらった絆創膏を膝につけています。これは過去に一人でやってきて文字通り傷付いたということでしょう。このときの足取りは画面左に向かって描かれています。この向きは2078年で琥珀との約束の場所に向かうときと同じです。そして、時間魔法で過去に向かっていたバスの進行方向も画面左。
そして①です。こちらは画面右に向かって描かれていて、バスで例えるなら未来の方向。
過去に一人でやってきて傷付いていた瞳美が葵と出会って一歩前に踏み出せたということなんですかね。
未来に帰る方法
柚葉は瞳美が未来に帰るために「強い魔法を習得する必要がある」と言い、瞳美の魔法の実力について「嫌いなものを無理して修行しても、あまり身に付かない」と言います。
そして2話ラスト、葵が魔法を喜んだことをきっかけに瞳美の魔力(?)は少しだけ強まります。葵が喜べば喜ぶほど、瞳美が自分の魔法を好きになればなるほど、未来へ帰る道が近くなる。なんだか切ない……。