お肉の貯蔵庫

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旅も自転車もド素人なのに四国一周した話(7)

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2018/12/28【二度目の徳島編PART1】クソオタクすぎて高知から徳島に引き返した話

 ついに訪れた大寒波の日。

 しかし、僕の頭の中はそれどころではなかった。

  

 このときの僕を最も悩ませていたのは、大寒波でも年末年始の過ごし方でもなく、どうすれば『色づく世界の明日から』の最終回をリアルタイムで観れるのかということだった。

 

  『色づく世界の明日から』とは、関東や近畿では2018年10月から12月末にかけて放送された作品で、僕はこの作品がとても好きだった。

www.iroduku.jp

 

 全13話のうち、旅に出る前に放送していたのは11話まで。

 12話は徳島のネカフェで観ることができた。

 しかし、高知は放送圏外だったのだ。

(※BSでも放送されていたが、問い合わせてみたところ、「たとえBSでも地元放送局で受信できる範囲しか映らない」というあやふやな答えしか得られず、高知で本当に観れるのか確証が持てなかった。)

 

 それに、徳島には「行っておけば良かった」と後悔する観光スポットが二箇所ほど残っていた。

 そのことが、大好きな作品の最終回はリアルタイムで観ないと気が済まないクソオタク気質と相まって、僕は踵を返して徳島行きの高速バスに乗った。

 ちなみに、高知から徳島へは電車よりも高速バスのほうが速いし安い。

 

 肝心の放送日は29日の深夜なので、実を言えば移動するのは翌日でも良かった。

 しかし、こういうときの僕は異常なまでに狡猾で保守的だ。いろいろ考えた結果、「もしも何かトラブルが起きた場合」に備えて、一日早く移動することにした。

 

 それに、時間に余裕があったほうが観光にも余裕が持てる。実のところ、それまでは時間に縛られながら観光しており、余韻も残らない観光の仕方に若干うんざりしていたのだ。

 

 とはいえ、アニメ一話のためにここまでする男がいるだろうか。

 ……いや、いな――いや、僕以外にも結構いそうだな。反語のつもりで書いたけど。

 

 最後ふわっとしてしまったが、兎も角それくらい『色づく世界の明日から』という作品が好きということだ。

 おすすめなので、時間があれば観てほしい。

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大塚国際美術館

 徳島へ舞い戻ると、なぜか懐かしさを感じた。

 まだ一度しか訪れていないし、一週間前にはまだ居た場所なのだから可笑しな話だ。

 それだけ徳島には思い出が詰まっていて、徳島を去ってから濃い経験をしてきたということなのだろうか。

 難しい感覚だが、その懐かしさというのは泣きたくなるような類ではなく、嬉しくなるような感覚だった。

 

 閑話休題

 僕がスルーしていた観光地というのは二箇所とも4日目に丸ごとショートカットした鳴門市にあった。

 あのときはメンタル的にいち早く徳島市に行きたく、鳴門市について詳しく調べずにいたのだが、よくよく調べてみると「四国に来たからには行かなければ損な場所」だと思ったのだ。

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 当然だが、自転車は高知市に置いてきた。

 この場合、徳島市から鳴門市に行くためには電車あるいはバスという方法があるが、荷物をコインロッカーに預けたかったので電車で行くことにした。

 

 鳴門市に着くと、今度はバスだ。

 例の如く数十分ほど、なかなか来ないバスを待つ。それさえも懐かしかった。

 ただ、大寒波の影響で死ぬほど寒かった。

 

 そうして着いたのは、大塚国際美術館

 世界のあらゆる名画を陶板という技術で再現した「陶板名画」を鑑賞することができる。その数なんと1000点以上。

o-museum.or.jp

 

 美術に疎い人でも、一度はこの天井画を見たことがあるのではないだろうか。

 かくいう僕も美術のことはさっぱりなので、ミーハーな気分で展示を楽しんできた。

 一応補足しておくと、これはシスティーナ礼拝堂天井画というらしい。

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 わずかな知識で語るのも恥ずかしいので、ここからはダイジェスト。

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 と、まあこんな感じ。

 展示の数がものすごいので、まともに見て回ると2~3時間ほど掛かる。

 誰でも知っているような名画の陶板も当たり前のように展示されているので、僕のような美術に疎い人間でも問題なく楽しめるのが特徴だ。

 

渦の道

  大塚国際美術館のあとは、鳴門市といえば鳴門大橋、鳴門大橋といえば渦潮ということで渦の道を目指した。

  たしか大塚国際美術館からの距離は1キロほどだったと思う。大変近いので、どちらかに訪れたなら、もう片方も立ち寄るのがおすすめだ。

www.uzunomichi.jp

 

 渦潮というのはイラストのようなイメージで固定概念化されてしまいがちだが、実際には潮の満ち引きで渦の大きさは変化する。

 当たり前の話だが、自然現象である以上、常に一定の大きさでグルグルしているわけではないのだ。

 ちなみに渦のピーク時についてはホームページから参照できる。

 

 僕が行ったときはピーク時をやや過ぎたというタイミングだった。

 それでも実物を見ると興奮したのだが、写真でそれが伝わるかはわからない。

 

 何も無いところで波立てているのが伝わるだろうか。

 

 観光客は鳴門大橋の遊歩道を自由に歩くことができ、写真のように一定間隔で嵌められたガラスから渦潮を覗くという仕組みになっている。

 時期が時期だけに、家族連れの客が多かった。

 ガラスの上を歩く肝試しが各覗き窓で行われていて、それもここならではの面白い光景だ。

 

 あとはあれだ。遊歩道とはいえ、腐っても海の上なので横から吹きすさぶ風がとても寒かったのを覚えている。おそらく大寒波の影響だろうが。

 

 その帰りには霙も降りだして、たぶん旅の中で一番寒い日になったと思う。

 徳島市に戻った頃には夜になっていたので、大人しくネカフェに引きこもることにした。

 

 

2018/12/29【二度目の徳島編PART2】クソオタクの休養日の話

 徳島に戻ってきた第一の目的、『色づく世界の明日から』最終回の放送時刻は深夜。

 そして、心残りだった鳴門市観光も昨日のうちに終えた。

 

 なので、この日は休養日に充てることにした。

 移動手段が徒歩、かつ寒波が厳しかったことで動く気になれなかったのも理由の一つだ。

 

 だが、コインランドリーで溜まっていた洗濯物を洗ったり、志那そばを食べたり、3度目の「あらたえの湯」に5時間滞在したりしていると、時間はあっという間に過ぎていた。

 

 夕方になると、特にやることもなくなったので、朝と同じネカフェに帰った。

 これで徳島市のネカフェは計5回ほど利用していることになる。

 「いつもありがとうございます」と言われると、年の瀬ということもあって小恥ずかしくなった。

 

 しかし、どんな辱めも『色づく世界の明日から』最終回を観るという使命のためなら仕方ないと思えた。

 

 放送時間まで暇を潰しているうちに何度かウトウトして、そのたび冷やっとしたのだが、深夜を回ると緊張から眠気が裏返った。

 年の瀬にネカフェでアニメを観る。

 今思えば、人としての尊厳が失われた瞬間だったような気がしなくもない。

 

 それでも最終回を観た後、ぼろぼろ泣きながら心から「よ゛か゛っ゛た゛」と言えたのだから悪い選択ではなかったはずだ。

 

 ちなみに、今は"色づくロス"がひどい。

(続く)